大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和39(オ)1311 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人蝶野喜代松の上告理由第一点について。

被上告人が本件土地に対する上告人の賃借権を承継する趣旨の下に右土地を買い

受けたとの事実を認められないとし、また、被上告人が本件土地の売主に代価とし

て支払つた金額二一万円が当時の価格に対比してみて賃借権の付着を承認したこと

を除外しては到底考えられないような低廉な価額であると認むべき資料もないとし

た原審の事実認定ならびに証拠の取捨判断は、記録に照し正当といえる。

所論は、右二一万円という価額が被上告人の本件土地買受の昭和二五年八月六日

当時において極めて低廉であつたことは公知の事実であるというが、独自の見解に

すぎず、右を公知の事実であるとする所論を前提として原判決の理由そごないし理

由不備をいう所論も、前提を欠き採用できない。

また、論旨は、原審が上告人の鑑定の申立を採用しなかつた点に採証法則違反な

いし民訴法三九五条一項六号所定の違背があるというが、その実質は、原審裁判所

の専権に属することに異見を述べるにすぎず、上告理由として採用の限りでない。

同第二点について。�

所論は、およそ、借地人において現に建物所有の目的で使用している土地を第三

者が悪意で取得したときは、借地人は法定の対抗要件を備えなくても、その借地権

をもつて右悪意の取得者に対抗できるものとしなければならないというが、独自の

見解であつて採用できない。所論挙示の判例は、事案を異にするから、論旨の根拠

とはなりえない。従つて、右所論に基づいて原判決の違法をいう論旨は、採用でき

ない。

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その余の論旨は、独自の見解に基づき立法論を述べるにすぎず、上告理由として

採用し難い。

同第三点について。

被上告人が上告人に対し本件家屋収去土地明渡の請求をすることは権利の濫用に

ならないとした原審の判断は、その認定判示の事実関係の下で首肯できる。所論は、

本件と異なる事実関係の下で是認する余地のある見解であつて、本件では採用でき

ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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